猿払村内イトウ産卵河川(猿払川支流)において王子フォールディングス社有林内(環境保全区内)国有林内に存在した河川工作物撤去後のモニタリング調査結果(産卵床調査・魚類相調査)
2012年国有林内の木製橋(洗い越し)2015年社有林内作業道カルバートそれぞれ撤去を実施、
その後のモニタリング調査2年目を迎えます、
該当河川河川工作物撤去前の産卵床数は経年で減少傾向にあり、最も少なかった年はメス1匹分程度の産卵床を確認するにとどまりましたが、上記河川工作物撤去によりイトウの遡上は確保され昨年からは源流部までイトウの産卵区間の延長を確認しました、2年目の今年度はさらに産卵床数が増え22個の産卵床を確認しました。
夏季の魚類相調査結果2015年~17年比較
下流側から王子フォールディングス社有林作業道カルバート撤去地点下流(2015年工作物撤去前)
2015年 2016年 2017年
イトウ3匹 7匹 6匹※3
サクラマス10匹 10匹 14匹
ドジョウ類3匹 0匹 2匹
トゲウオ類3匹 0匹※ 0匹※
ウグイ類 0匹 0匹 0匹
上記地点上流100m
2015年 2016年 2017年
イトウ0匹 9匹 3匹※3
サクラマス12匹 12匹 13匹
ドジョウ類8匹 2匹 0匹※
トゲウオ類7匹 1匹 1匹
ウグイ類 0匹 0匹 3匹※2
上記地点500m上流国有林カルバート上流部
2015年 2016年 2017年
イトウ0匹 14匹 6匹※4
サクラマス11匹 9匹 11匹
ドジョウ類0匹 0匹 0匹
トゲウオ類0匹 0匹 0匹
※トゲウオ類・ドジョウ類の減少は河川工作物撤去後の河床低下等河川環境の変化に伴う減少と推察される。
※2今年度初めてウグイ類を確認河川工作物の撤去でサケ科魚類以外の魚の移動も確保された事を示唆する結果となった。
※3今年度各調査地点でイトウ稚魚の減少が見られたがこれは今年度の降雨増水の頻度等自然現象による稚魚の流下分散が昨年度より進んだ結果と推察される。
※4のイトウ6匹捕獲のうち3匹は7.5~10.5cmで推定1歳魚と推察され昨年度の稚魚が残存し本河川で越冬した事を裏付ける。
今年度の調査結果でも河川工作物撤去の効果が実証されました、今後もこの様な河川環境改善の活動を継続していきます。
(調査 投稿 猿払イトウの会 川原 満)
2017年6月25日(日)に猿払村笠井旅館にて、第9回の総会を行いました。議事録を添付いたします。
9月9日から同12日、猿払村において環境教育研修プログラムを実施しました。
北海道大学の協力のもと同大学生5名に参加して頂きました、前日から宗谷地方は大雨の天候でしたが学生は無事到着、初日は猿払村役場において、真野副村長の講義、猿払村の概要・歴史・産業の講義をいただき、続いて猿払イトウ保全協議会・猿払イトウの会会長の小山内から活動内容や会補足の経緯・意義、イトウの生態等についての講義で一日目を終了、
日程二日目、連日の雨で河川は大増水と悪天候、大幅に研修内容の変更がありましたが安全な研修コースを選択しての野外研修を実施、産業と河川環境、山林の環境等を重点に猿払や浜頓別の自然環境・酪農地帯を巡りました。
日程3日目、午前の工程、前日夜から雨も止み、当日は曇り~晴れと天候は持ち直しましたが河川の増水は余り治まらず、水量の少ない支流源流部で実際に河川に入りイトウの産卵環境・魚類相・水棲昆虫などを学生たちが捕獲し観察、イトウの稚魚・幼魚、カラフトマスの産卵行動も目の前で観察する事が出来ました
3日目午後の工程は 王子フォールディングスのビジターセンター(猿払村内)において北海道大学の農学研究院、動物生態学研究室の荒木教授と研究生による環境DNAを用いた調査の講義を実施、最先端の研究内容に学生たちは聞き入っていました。
最終日、猿払村役場会議室において学生たちのプレゼンテーションを実施、多くの役場職員の皆様に参加して頂き、意見交換なども活発に行われ、本プログラムを終了しました。
猿払村内イトウ産卵河川(猿払川支流)において、王子フォールディングス社有林作業道・国有林内に存在した河川工作物撤去後の魚類相モニタリング調査を実施しました。
国有林内に存在した木製河川工作物は2012年に宗谷森林管理署へイトウの産卵遡上障害になっている事を報告、翌2013年夏に撤去されました、王子フォールディングス社有林内作業道に設置されていたカルバート(土管)も2015年冬に撤去、この二つの遡上障害の撤去の効果検証として春季に産卵床調査(この結果は資源保護の観点や乱獲の恐れがあるためこの場では公表いたしません)夏季に魚類相調査を実施、魚類相調査を実施することでイトウ稚魚を確認し産卵した事の裏付けの結果を得る事が出来ます。
結果として遡上障害の大きな要因である王子社有林のカルバート(土管)が昨年冬に撤去された事により昨年と大きく調査結果が変わりました。
以下調査結果(捕獲魚種・匹数)
St1 王子フォールディングス社有林作業道カルバート下流
2015年8月9日 2016年8月11日
イトウ 3匹 7匹
サクラマス 10匹 10匹
フクドジョウ7匹 1匹
トゲウオ類 3匹 0匹
St2 St1カルバート約40m上流
2015年 2016年
イトウ 0匹 9匹
サクラマス 12匹 12匹
フクドジョウ8匹 2匹(死骸1含む)
トゲウオ類 7匹 1匹
St3 St1上流 約500m上流 国有林カルバート上流
2015年 2016年
イトウ 0匹 14匹
サクラマス 11匹 9匹
フクドジョウ0匹 0匹
トゲウオ類 0匹 0匹
※トゲウオ類やフクドジョウが減少した要因としてカルバート撤去後河川環境が変化した事に起因すると推察されます。
イトウ稚魚は各捕獲場所(カルバート下流~木製工作物撤去付近)で確認され匹数も増加した事がわかります、またイトウ稚魚は木製工作物撤去個所周辺(St3)で最も多く確認されており、これはカルバート撤去前後の産卵床分布変化と符合した結果となり、2015年では王子社有林カルバート下流部のみイトウ稚魚が確認されていましたが、産卵床も2009年頃~15年までほとんどこの個所で集中的に確認されており、この事は王子社有林内のカルバートが閉塞し数年間、遡上の障害となりその下流でしか産卵できなかった事を物語る結果となっています、現在は王子社有林カルバート、国有林木製工作物も撤去され、産卵遡上の障害は無くなりこの河川上流部にある良好な産卵環境で産卵する事が出来るようになり、イトウを取り巻く環境改善の大きな一歩が実を結んだ結果が表れた調査となりました。
今後も多くの地権者と情報共有をしイトウと人が共存できる体制構築に向けて活動していきたいと思います。
(調査 投稿 猿払イトウの会 川原 満)
猿払村内山林には森林施業に欠かせない林道が多く存在しています、この林道と河川の交差部にはカルバート(パイプ)が設置されていますが、このカルバートのサイズや設置状況によっては魚類の移動を妨げる脅威となります、猿払村内河川にも幾つか問題を抱えたカルバートが存在しますが、地権者・管理者と協議・情報交換し環境改善の活動に取り組んでいます、
この度はカルバートが閉塞した個所において閉塞物の撤去作業を実施、この上流で今年春イトウの産卵遡上を確認できませんでした。
閉塞物を撤去し流路を確保しました来春の遡上時期までモニタリングを実施していきます
(猿払イトウの会 川原 満)
5月2日14時より、猿払村役場会議室にて平成28年度イトウシンポジウムを開催いたしました。 講師として米国コロラド州立大学 魚類・野生生物保全学部のカート・ファウシュ博士、および国立環境研究所主任研究員の福島路生博士をお招きし、貴重な講演を行っていただきました。
●ファウシュ教授演題;『川が人類にかけがえのない存在である理由:科学者の視点から』
●福島博士演題;『イトウのモニタリングの結果と考察』
また、当日の午前中には実際に猿払の河川を訪れ、イトウの遡上およびピートランド博士らが行っている遡上調査や北海道大学水本先生らが行ってある生物DNA調査について、現地で説明を受けました。
2016年5月2日(月)に当協議会の総会を行いました。